貞享3(1686年)創業の歴史を持つ老舗旅館「小柳」の再生プロジェクト

そもそも「小柳」は浅間温泉ではハイグレードな旅館で、高級感のある佇まいが建物から溢れ出している…そんなイメージでした。
そのリニューアルにあたり、自遊人のクリエイティブ・ディレクター岩佐十良氏が2018年3月に引き受け、現在に至るようです。
雑誌「自遊人」が運営するホテルの総合予約サイトです。自遊人では「伝える」をテーマに、さまざまなモノやコトを社会に提案して…

宿泊はなかなかのお値段になりますが、洗練された高級旅館の雰囲気だけ味わうことが出来る空間が「松本本箱」です。
「新しい知との出会い」をコンセプトにしたブックストア『松本本箱』。店内は「本の道」「げんせん本箱」「オトナ本箱」「こども本箱」「三六七(367)」の5エリアに分かれています。
選書の基準は「知らなかった世界に触れ合える本」。知識と興味の入り口になる写真集や画集、エッセイや入門書を中心に約1万冊を取り揃えています。
選書は日本を代表するブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)さん率いる『BACH』と、日本出版販売の選書チーム『ひらく』。それぞれのエリアでコンセプトも選書の詳細も異なります。ぜひ本の世界、新しい知の世界に溺れてください。
本屋さんでもありますが、独特なラインナップの図書館でもあります。
この建物の上にもホテルがあり宿泊者は自由に使うことが出来ます。日帰りで利用することも出来ます。入館はネットで完全予約制。
こちらのサイトから会員登録をして、予約から1時間以内の利用が可能です。時間内は再入館が可能で、もう少しいたかったら予約を取り直すことで延長できる仕組みです。
あまり人は多くないようですので、通常であれば再入館も難しくないと思われます。
現地で会員登録して入館

予約はせずに行きましたが、現地で会員登録して入館できました。スマホで全部完結スタイルです。
中に入って驚き。静寂とスタイリッシュが融合した、田舎にあるとは思えない洗練空間が広がっています。

どこを切り取っても絵になる…
本の道

フロントから奥へと続く「本の道」。「本から様々な流行を知る」ことをコンセプトに選書されています。
現在のベストセラーだけでなく、過去のベストセラーから時代を振り返ったり、時代の流れを感じたり……。タイムマシンに乗るように、時代の走馬灯を眺めるように、「本の道」を歩いてみてください。
本の道には松本本箱スタッフが厳選した雑誌も置かれています。一般書店とはまた違う雑誌のラインナップもお楽しみください。

こちらには雑誌が置かれていて、こちらは販売用だと思います。
薄暗い空間から覗く緑と光が、あまりにも計算されていて、隙間から見る景色すらおしゃれに感じます。
げんせん本箱

赤い絨毯の部分からは靴を脱いで上がります。
日本を代表する選書家でありブックディレクターの幅允孝さんが提案する、日本初の「エキシビション型書店」。エキシビションテーマは「新しい生活様式」。
盛んに言われる「新しい生活様式」とは何なのか。本を構成することでその答えを問います。
これから自分たちは何を目指せばいいのか、その答えが書棚に詰まっています。気軽に手にとれる本ばかりなのに、そこから伝わってくるメッセージはけっこう難解。温泉に浸かって頭を柔らかくしてからお越しください。

ネオン管で語られる「生活とは、人間の心の中にあるものなのです」
この言葉通りの哲学書や自己啓発系など、心に迷いがあるときにふと手に取りたくなるような本が揃っているように思いました。

ところどころに、ひっそりと秘密基地のような洞窟のような…さらに照明を落とした小部屋が設置され、気に入った本があれば、おこもりして読み耽ることも出来ます。
一人の時間。集中する時間。案外、今の生活ではとれないことが多いのかもしれません。

長野の来歴とか、この土地に密着した本のセレクト。

松本城の模型も飾ってあります。
こども本箱(ブックプール)

インスタで見ていた有名な場所。
オトナ本箱の階下にあるのが「こども本箱」。同じく大浴場をリノベーションしたブックプールです。洗い場は迷路型の本棚に、浴槽はボールプールになっています。絵本がずらり2000冊。
こどもはもちろん、オトナも童心に帰って絵本を楽しんでください。なおこども本箱にはベビーベッド付きのトイレのほか、2つの授乳室もあります。
※迷路型の本棚はこどもサイズです。オトナは狭くて頭や身体をぶつけるので、気をつけてご利用ください。
※こども本箱には監視員がいません。ボールプールに飛び込んだり、本棚の上に登ったりすると危険です。ご利用の際は必ず保護者同伴でお願いします。

大浴場をリノベーションしたということで…カランがしっかり残っています。
ケロリンの黄色い桶を探す私…しかし、ない…

ぬおお…(*_*)
お湯の代わりにボールが敷き詰められていて、この中に入って遊ぶことができます。
これって確か、東京おもちゃ美術館にも同じようなものがあって、玉にまみれて子どもたちが発狂していたことを思い出しました…
新宿の旧校舎を活用した交流&体験型ミュージアム。日本の木のおもちゃ、海外のデザイン性の高いおもちゃなどを実際に手にとって…
この無数の玉に子どもたちはどこかしら惹かれ熱狂するのでしょうね…
迷路型の本棚は子供サイズで、頭をぶつけそうになります。そのくらい子供に合わせた構造です。
浴槽横や洗い場に、楽しそうな絵本がたくさん貯蔵されていて、風呂に入りながら本を読むと何やら楽しそう…な予感です。大人もやって良さそうです。

授乳室や化粧室も完備。
オトナ本箱(ブックバス)

下階に先に降りてしまったのですが、流れで行くとこちらが先に通るルートかもしれません。
「本に溺れる」をコンセプトにした「オトナ本箱」は、以前の大浴場を利用したブックバスです。「オトナの写真集」をテーマに、さまざまな色気のある写真集を選書しています。
湯船に浸かりながら、寝転がりながら、ゆったりお過ごしください。ひとり(または2人で)本の世界に没頭したい時は、「オトナ本箱」手前にある「おこもり空間」へ。
本棚の奥は個室空間。テーブル+電源が備え付けてあるブースもあります。混雑時は譲りあってご利用ください。

こちらも大浴場完備。
天井が鏡張りで、本がたくさんあるように見えるのと、天井の奥行き感を感じさせてとっても広く感じます。

昔、プールに入る前にあった消毒槽(今は廃止らしいですね…(^_^;))みたいな小さいお風呂も。

浴槽の中にも外にもクッションが置かれていて、浴槽は硬そうだけど、絨毯のところでクッションに体を預けてゴロゴロするのもリラックスできそう。

母が浴槽に腰掛けていたのですが、服を着ていてもなんだか風呂に入っているような様子に見えて、大浴場のビジュアルって脳の錯覚を起こすんだなぁ…

こちらにもおこもり感抜群の小部屋があり、この暗さが逆に本に没頭できそうな雰囲気です。

お湯を上がったところにも、本とタオルが設置してあります。タオルは実はひざ掛けかな。
ディテールの再現がやっぱりデザイナーが作った空間だ!と思わせてくれます。
まとめ

遊びココロ満載。所々にデザイナーのこだわりを感じる癒やし空間です。
松本十帖というプロジェクトの中の1つですが…
松本十帖は、単なるホテル再生プロジェクトではなく、「エリアリノベーションのきっかけ」になることも目指しています。
とのことで、ここを起点に浅間温泉全体を盛り上げようという気概と、練り込まれた企画と思想が詰め込まれています。
そもそも巨大収容の旅館なのに、駐車場がないこともあり、一般的な旅館に比べて不便なところもあるようで、逆にそれを利用して、チェックインは別のところ、駐車場から旅館までは3分歩くなど…わざと、利用客を浅間温泉内を周回させる試みもあるよう。

敷地内には「HOTEL 松本本箱」「HOTEL小柳」という2つのホテル、ブックストア、ベーカリー、ショップ、レストラン、ハードサイダー醸造所などがあり、敷地外に「おやきとコーヒー」「哲学と甘いもの。」という2つのカフェがあります。
とのことで、旅館の中に小さな町のような世界を作り込んでいます。
宿泊客だけではなく、日帰りの人も楽しませる試みで、都会から来る人や海外の観光客も、「おっ!」っと思わせる仕掛けを大規模リノベーションで実現しています。
箱根にも同じプロジェクトの施設があるとのことで、今度訪れてみたいと思います。
本離れが加速していて、私もなかなかゆっくり本を読むことがママならなくなったけれど、「旅先で本を読む」ことはとてつもなく贅沢な気がして、貧乏人は気が引けます…心と懐にゆとりがほしい…
ここを訪れて、日本人はセカセカ、ガツガツしすぎっ!と自己反省もしきりです。
松本十帖の宿泊は
浅間温泉の宿泊は
現地へのアクセス
松本十帖の公式HP
松本十帖 created by 自遊人の公式サイト。長野県松本市浅間温泉の老舗旅館を「松本本箱」「HOTEL小柳」という…



























