【歴史探訪】「美しいものが美しい」無名の職人が作る日用品を展示する「松本民芸館」

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子供の頃に一度訪れた民芸館。大人になって、多少知識が増えた上で改めて訪れると新しい発見があるものです。

「美しいものが美しい」だから説明は不要ということで、展示品にはほとんど説明がありません。

「無名の職人たちの手仕事で日常品」に見る美をコンセプトに個人が収集した約6800点を松本市に寄贈し、市が運営している小さな博物館です。

雑木林の庭のある静かな心休まる空間

公式サイトによると「なまこ壁の蔵造り」の建物とのことですが、初っ端からなまこ壁の意味が素人にはさっぱりわかりません(^_^;)

どうみても、見た目普通の壁です…

雑木林のお庭は見学無料で、紅葉のシーズンは特に美しいようです。

ところが、冬の枯れ木を見上げてみれば、ハリー・ポッターの「暴れ柳」のようで、まるでファンタジーの世界です。

石畳の案内を進みます。

まだ進みます…

玄関にはありがたい10地蔵様がお出迎え。

松本市郊外に位置する松本民芸館は、「なまこ壁の蔵造り」の建物で、雑木林の庭のある静かな心休まる空間です。

中町の「ちきりや工芸店」の店主の故・丸山太郎氏が、柳宗悦の民芸運動に共鳴し、昭和37年に創館しました。「無名の職人たちの手仕事で日常品」であるものに美を見る民芸の心が、氏の「美しいものが美しい」という書によく表れています。

引用:新まつもと物語

ちなみに「ちきりや工芸店」は観光地でもある蔵の町「中町」に今でも存在しています。

当たり前のように説明があるのですが、地元民の方が知らないのかな…

でも、こうやって見てみるととても趣のある、そして老舗感たっぷりのお店。

何度か通ってもカーテンが閉まっていて開いているのかわからないのですが、口コミがついているので、やっぱりたまたまお休みだっただけで営業している様子。

工芸品を静かにお買い物が出来ると観光客の方からは評価が高いようですよ。

本題に戻りまして…

無名の職人たちの手仕事で作られた日常品に美を感じる。当たり前のようで当たり前ではない。

禅問答のような難しいコンセプトですが、展示物を眺めるとほんの少し、その感覚がわかるような気がしてきました。

松本民芸館なので、松本市の民芸品だけを集めていると思ったら、日本全国、世界各国の民芸品の展示で「ほぅ…」と得心するものやら、くすっと笑ってしまうものなど、思った以上の見応え。

民族衣装の展示もあり、左側が沖縄、右がアイヌの衣装。

黒い衣装を見て、ゴールデンカムイの谷垣ニシパが着ていた民族衣装を連想するのは私だけではないでしょう…

アイヌの民芸品。「爺・婆」…アイヌ語だと、エカシとフチになるんでしょうかね。

最小限のような、細かい細工のような、それでありながらアイヌ民族の特徴を捉えています。

最近アニメのゴールデンカムイも始まったのでタイムリー。

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こちらは御神酒の口。この細工の美しさに神様もうっとりするはず。

櫛やかんざし。日本の民芸品はとにかく繊細な細工が美しく、日本人の手先の器用さは世界に誇れる。

これが無名の職人の手仕事なのかと思うと、さらに感慨深い。こういったものが、普通の人々に普及しているというのは、世界では決して当たり前のことではないはず。

興味をそそる世界の民芸品も

日本の民芸品もさることながら、突然「アフガニスタンの石の釜」が現れる。

中東も文化の発展が早かった地域であり、日本とはまた違った装飾が施されています。

こちらは何かと思えば…

イタリアの「パンこね箱」。

この道具を使っているのは容易に想像できますね。フォカッチャとか捏ねているんでしょうかね。

ペルー チチカカ湖の手提げバッグ。

その地域では当たり前に使っている民芸品から、これをどうやって使っているんだろう…と思いをはせることが出来ます。

このバッグもそこそこの大きさで、これに何をいれて持ち歩いているのか…大きい割には、紐が細いからあんまり重いものではないのか…などなど、妄想するのが、なかなか楽しい。

トルコの水入れ。

水入れならもう少しシンプルでもいいものを…装飾なのか、何か理由があるのか…

日本の職人はすごい

世界の民芸品と比べられるからこそ、日本人の手仕事の繊細さ、壮美さ、優雅さなどが際立ちます。

こちらは江戸時代の車たんす。

下部に車輪が付いた箪笥のことで、火事が多かった江戸時代、緊急時に貴重品を持ち出せるように箪笥に車を付けて押して逃げたと言われていたそうな。

唐突に上に乗っているのは、飾り鞍。優雅で気品あふれる装飾で、偉い人が使っていたのだろうと…もしかして、姫用…?

二階に上がります。スリッパが大変滑りやすいのは旧開智学校と一緒。とっても慎重に上ってください。

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まずは甲府のごっついだるまがお出迎え。

二階にも世界各国の民芸品が並びます。古伊万里の隣にリスを描いたメキシコの皿。

間抜けな木彫りのウマ。仔馬なのか、よくよく見ていると可愛く感じてくる。

江戸時代の狛犬。こんなん、妖怪じゃん(^_^;)

笑ろてるよ…

タイの香入れ。カバ?カエル?

イランの4つ口壺。

花を4方向に刺すのか、それとも4方向から水を出すのか…他国の発想は文化を理解しないと難しいのかもしれない。

松本てまり。最近復活していると聞きました。もちろん、遊ぶものではなくなり、居間を飾る展示物です。

松本市立博物館には、このオブジェがあります。

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アニメでしか知らない物を実際に見られる

展示はまだまだ続きます。

これは「墨つぼ」。

大工仕事で木材や床・壁に長くて真っ直ぐな線を引く(墨出し・墨付け)際に使われる、1300年以上の歴史を持つ伝統的な大工道具です。

墨汁を含ませた綿(池)と糸を巻き取る糸車が内蔵され、糸を張り、指ではじくことで正確な直線を引けます。

引用:Google先生

昨年放送していた大人気小説がアニメ化されていた「しゃばけ」。

九十九神になれなかった「墨つぼ」が江戸で殺人を起こし、病弱な薬屋の若旦那がそれを解決するお話でした。

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こうやってアニメでしか見たことがないものを、実際に見ると、より時代背景の理解が深まります。

おっと、向こうにたくさん並んでいる石像は…

地獄の裁判官様たち。

地獄の裁判官は閻魔様しか知らなかったのですが…実は10人いると知ったのもアニメでした。

多分、上の石像が閻魔大王っぽい…多分…

死者の審理は通常七回行われる。

没して後、七日ごとにそれぞれ秦広王(初七日)・初江王(十四日)・宋帝王(二十一日)・五官王(二十八日)・閻魔王(三十五日)・変成王(四十二日)・泰山王(四十九日)の順番で一回ずつ審理を担当する。七回の審理で決まらない場合は、追加の審理が三回、平等王(百ヶ日忌)・都市王(一周忌)・五道転輪王(三回忌)となる。ただし、七回で決まらない場合でも六道のいずれかに行く事になっており、追加の審理は実質、救済処置である。もしも地獄道・餓鬼道・畜生道の三悪道に落ちていたとしても助け、修羅道・人道・天道に居たならば徳が積まれる仕組みとなっている。

なお、仏事の法要は大抵七日ごとに七回あるのは、審理のたびに十王に対し死者への減罪の嘆願を行うためであり、追加の審理の三回についての追善法要は救い損ないをなくすための受け皿として機能していたようだ。

十王の裁判の裁きは特に閻魔王の宮殿にある「浄玻璃鏡」に映し出される「生前の善悪」を証拠に推し進められるが、ほかに「この世に残された遺族による追善供養における態度」も「証拠品」とされるという。

引用:Wikipedia

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そのアニメは、食通としても有名でしゃぶ葉コラボまで実現した「安元洋貴」氏が主演し、シーズン3までの展開がある「鬼灯の冷徹」。

閻魔大王の補佐役「鬼灯」と愉快な仲間たちが、面白おかし過酷な地獄を紹介しています。

アニメで自分のヌード写真集を作って、配って嫌がられる「奪衣婆」。

多くの地獄絵図に登場する奪衣婆は、胸元をはだけた容貌魁偉な老婆として描かれている。例えば『熊野観心十界曼荼羅』に登場する奪衣婆は獄卒の鬼よりも大きい。

日本の仏教では、人が死んだ後に最初に出会う冥界の官吏が奪衣婆とされている。奪衣婆は盗業を戒めるために盗人の両手の指を折り、亡者の衣服を剥ぎ取る。剥ぎ取った衣類は懸衣翁という老爺の鬼によって川の畔に立つ衣領樹という大樹に掛けられる。

衣領樹に掛けた亡者の衣の重さにはその者の生前の業が現れ、衣が掛けられた衣領樹の枝のしなりぐあいで罪の重さがはかられ、その重さによって死後の処遇を決めるとされる。

引用:Wikipedia

盗みなどを働いた亡者の衣類を剥ぎ取る役目だそうですが…自分が脱ぐ必要はあるんかいっ?(^_^;)

この石像でも、おっぱい丸出しでした(^_^;)アニメでは仕事が出来る露出狂といった感じでした。

薬箪笥もよくアニメで見るやつ。

「薬屋のひとりごと」だったり、「千と千尋の神隠し」の釜爺も薬棚から薬湯の薬を取り出していました。

ちなみにこちらの薬箪笥は江戸時代の飛騨高山のものらしいです。

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割と近代の民芸品の展示もありました。

ガラスの器や焼き物の展示もあります。

1階のロビー横あたりには、この古民家の雰囲気にぴったりの囲炉裏がある居間が現れます。

これはこれで、武家屋敷のような「貧清」をモットーとする品のあるシンプルさには日本特有の美しさを感じるのですが…

子供の頃はこのあたりに、江戸時代くらいの民家の居間や土間が再現されていたような記憶が…

さすがにうん十年前の話で展示の変更は当然でしょう。

まとめ

ここ民芸館の展示にやけに興味を抱いて「私は日本の民族文化に興味があるんだなぁ」と、自分でも知らない自分を発見したわけです。

たいしたことのない日常に、新しい自分と知り合うきっかけになる出来事が起こるわけで、何気ない日々でもそういうのが楽しかったりするわけです。

 

この小さな博物館では、そんな小さな日常を「道具」という形で切り取り、無もなき人々の手仕事が暮らしを支えている、彩っている、便利にしている…その道具たちを「美しい」と思える心のゆとりは「安心」だったり「平和」だったりします。

世界の人々が旅してきたゆったりした時間が流れを共感する場所。ぜひ心にゆとりがある時に訪れてみてください。

そして、うん十年前から、同じように展示物の管理をし、ずっと存在し続けるこの小さな博物館もいろんな人々の支えあってこそ。税金あってこそ。

冬のお庭の枯れ木もいいけれど、古民家をバックに風流な紅葉を撮影したかったなぁ。

 

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現地へのアクセス

松本市立博物館公式HP